千利休の庭燈籠についての主張は『南方録』に、

「露地の趣に随ひ手水鉢の辺、または木陰の暗きところ置くべし石燈籠の古びたるよし、木燈籠是利休燈籠といへり、手水鉢の辺につりまたは蜘手をしてすへてよし、又三ヶ月のも有り」

と記されているが、これでも分かるように実用を目的とすることは勿論であるにせよ、同時に茶庭の静寂な雰囲気を破壊しないように心がけるべきだとも教えています。

園路の照明として燈籠が用いられる以上、それが実用に重きをおくべきはいうまでもありませんが、殊に手水鉢とか、躙口（にじりぐち）とかの付近は、どうしても照明がゼロというわけにはいきません。

さらに石燈籠自身が局部的中心となって、鑑賞の対象とならなければいけないわけで、そこに燈籠を一基建てるにも十分な研究、苦心が必要とされるのです。

江戸時代の茶庭秘伝書というべき『露地聴書』によると、中潜、腰掛、手水鉢、刀掛、躙上の五か所は必ず照明を必要とするのだから、実用上それぞれの場所にこれを設けなければならないし、これ以上にも必要があれば、一つひとつ燈籠を建てなければならないことになります。

ただし実用上のことばかりにこだわらず、それが眺めの一つとなることも予期しなければなりません。
従って、照明上の効果ばかりを考えて、あちらこちらへ無闇にたくさん建てると、さながら街頭のようになり鑑賞上大変醜くなるため、よほど考えなければならないのです。


＊写真：一般家庭の庭の燈籠

つづく


※ここの記載は参考としてください。
※引用：ガーデンライブラリ（龍居庭園研究所）



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