燈籠の建て方についての心得というべきものが『築山庭造伝（前編）』にも記されてありますが、これには、

「石燈籠の置所は作意品々あり、次の巻にある図を考へて置所をしるべし、高さの事さまざまの伝あれども強て寸尺に拘べからず、只燈籠の大小、庭の広狭に応じて恰好見合わせ肝要なり、火袋泉水のうつりを計ふべし、燈籠の石柱四角なるは直に方面を見せては風情すくなし、角を少し背て建てれば幽遠にして面白し、かやうの事都で庭の模やうに心得あることなり」

とあって、かなり細かい心づかいが窺われ、それが決して実用のみを以て満足すべきでないことを教えています。

また山田宗僱（そうへん）の『茶話指月集』にも、実用と鑑賞との両方面から十分考慮して建てるべきことを教え、燈心の数までも記し、明るい月夜には樹陰など一層暗く感じるため、燈心の数を増やすようになどと行き届いた説明が施されてあります。
また昼間除いておくことを忘れがちな障子のことまで注意していて、燈を点さない時も、障子をはめたままにしておくことはありがちなこと。
これを取り除いておくというのも一理あります。

現在のように電気をひいてスリ硝子の障子をはめ殺しにした燈籠などを宗僱宗匠が見たら、大喝一声、頭から叱り飛ばすかもしれませんね。

＊写真：桂離宮

つづく


※ここの記載は参考としてください。
※引用：ガーデンライブラリ（龍居庭園研究所）



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