親鸞聖人の教えを受ける浄土真宗では他宗と大きく違う教義があります。
当然、お墓のとらえ方も違ってきます。
真宗では墓地を持ちませんし、お墓を建てません。
お墓はそこに死者が祀られて成仏するまでの五十年間の追善供養を受けるための器ですから、死即往生を説く真宗には不要なのです。
また偶像崇拝を否定していますので、本尊様の阿弥陀如来以外「○○家之墓」という看板は拝むに値しない偶像ということになります。

そこでお墓を建てられない真宗門徒にとって、死者をどう祀ればよいのかという難問に突き当たります。
答えは一つ。
それは阿弥陀如来をお迎えし祀ったお墓、つまり仏塔でなければならないのです。
西本願寺では、この「仏塔」という呼び方にも難色を示しています。
本山のいうことですから素直に受け止めなければなりませんが、お墓のことを「名号碑」と呼んでいます。
「碑」はいしぶみであって、仏を迎えればやはり記念碑と同列では済まされません。

塔を建ててはいけないのであれば、築地本願寺の建物も京都大谷本廟の明著堂のなかにある住職の墓である卵塔も建てられません。
せっかく写経をしても真宗では「当宗派では写経はありません」と言われたりします。
般若心経のように行としての利益（りやく）を叶える認識の写経はありませんが、阿弥陀経や正信偈など、本尊に供えるお経を書いてはいけないのでしょうか。
お経を書いてはいけないのであれば住職の唱えるお経もいけなくなります。
そんなことより墓地経営や「信士」「信女」をつける法名のあり方を問題にしたほうがいいのかもしれません。

写真：築地本願寺（ウィキペディアより）

※ここの記載は参考としてください。


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