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WEB版 広報さか

第20回「青少年の主張」作文特選作品

特選作品は2回にわたり6・7月号の広報にて掲載いたします

「広報さか 2015年 7月号」掲載記事 

「こ食」改善論

坂町立坂中学校 二年 光井 満月

 皆さんは五つの「こ食」をご存じですか。これは、「個食」、「孤食」、「固食」、「粉食」、「小食」のことを指しています。「個食」は家族でそれぞれ違うものを食べること、「孤食」は一人で食事をすること、「固食」は好きなものしか食べないこと、「粉食」はパンやめん類など粉物ばかりを食べること、「小食」は食べる量が少ないことを意味しています。これらは食事の際に気をつけなければならない課題としてそれぞれ名前がついています。では、この「こ食」の何がいけないのでしょうか。そして改善するためにはどうすれば良いのでしょうか。
 まず一つ目の「個食」について考えてみましょう。これは朝食時に多く見られるものです。ご飯を食べる人とパンを食べる人というように好みが分かれていることもあれば、朝は時間も食欲もないのであまり食べられないという人もいるかも知れません。このようにひとつの家庭で家族が別のものを食べると、味を共有することがないため「美味しいね」などの会話が生まれにくいです。小さいことのようですが、これが積み重なるとコミュニケーション、つまり人との関わり方に影響がでてくるとも考えられるのです。休日など時間がある時に、家族みんなで同じ時間に同じ物を食べてみると、会話も弾むのではないでしょうか。
 「孤食」は、メディアなどでもよく取りあげられる問題です。一人での食事はさびしく味気ないものであり、幼い時から続けていると協調性が身につかないとも言われています。家族みんなで食べる時間を作る努力が必要です。全員がそろわなくても、誰かと一緒に食べられるように工夫する姿勢がよいと考えます。
 これら二つは食事のスタイルに関する課題です。家族全員で食事に対する意識を変えることで、改善していくことができます。これに対して以下の三つは食事を作る際に工夫するべきことです。
 好きなものしか食べない「固食」は、必要な栄養が体に行き渡らなくなる上に、カロリーオーバーで肥満になりやすい傾向があります。バランス良く栄養を摂るためには、好き嫌いなく何でも食べるべきだというのは言うまでもないことです。
 粉ものばかり食べる「粉食」は、食の欧米化が進んだことによって多くなりました。柔らかいものが多いので、かむ力や歯の強度あごの力が弱くなり、病気など様々な弊害を生みます。日本食の良さに立ちもどり、白米や玄米をはじめ、かみ応えのあるものをよくかんで食べることが大切です。
 食べる量の少ない「小食」は、十分な食事を摂らないことで栄養をうまく吸収できず、体力が落ち、病気にかかりやすくなります。実は、私は小さいころ大変「小食」で痩せていました。しかし、小学校中学年ころから食事の時間が楽しいと思うようになり、たくさんの種類と量の食事を摂れるようになりました。それには四つの理由があります。
 一つ目は、家族みんなでそろって食べるようになったからです。私が「小食」でやせていた時は、一人で食べることはなくても、父が欠けていたり、母が欠けていたりして皆でそろって食べることが少なかったのです。皆で食べるようになると会話が弾み、食事が楽しくなっていきました。
 二つ目は、一口サイズのおかずやご飯が増えたからです。一つひとつが小さくなったことで食べやすく、何より飽きずに最後まで食事をすることができるようになりました。
 三つ目は、食事がそれまでよりも色鮮やかになり、暖色系のものが増えたからです。暖色は食欲を増進させ、寒色は減退させるという研究結果があるそうです。サラダなど緑が多いものにもトマトやにんじんなど赤やオレンジの食材を入れるなどして工夫すると鮮やかで明るい色になります。
 四つ目は、見た目に楽しい工夫がほどこされたからです。食材が飾り切りしてあったり、ごまやのりで動物や人の顔が作ってあったりして、楽しく食事ができるようになりました。
 一つ目の工夫は両親が、後の三つの工夫は全て苦労して母が実行してくれたものです。私は家族のおかげで「小食」を卒業することができました。
 私は色々な「こ食」について学び考えました。その結果、これらは防ぐことができるものだと確信しています。「こ食」を防ぐには、自分の自覚とともに、家族みんなの協力や工夫が必要です。皆さんも、心身ともに健やかに育つために、食事を工夫し、食卓を明るく
するなどして、「こ食」改善に取り組んでみませんか。きっと、家族の笑顔が食卓や家庭に広がっていくと思います。

優しさの証

坂町立坂中学校 三年 小倉 彩加

 私には今でも心に残っている出来事があります。それは、大人同士の「絆」を初めて見た時でもありました。
 私の住んでいる地域には、お年寄りが多く住んでいます。夜はたまに住民協のおじさんやおばさんが集まって、地域内のパトロールを行っています。私はかつて一度だけ、そのパトロールに参加したことがありました。
 パトロールの日、私は少し緊張していました。その日私は、特に何もすることがなかったので母についてパトロールに参加をしました。私たちが集合場所に行くと、そこには二十人ほどのおじさんやおばさんが、黄色いベストを着て立っていました。私は一瞬、そのまぶしさに目がくらみそうになりました。そして、参加者全員が集まったところでパトロールに向かいました。夜ということもあって少し肌寒かったので、私は「早く帰りたいなぁ」など考えていました。「どうせ怪しい人や変な人なんているわけがない。」――そう思っていたのです。
 結局何事もなかったので、私と母は途中で帰ることになりました。やはり、私が見た中では、特に怪しい人はいませんでした。それでもおじさんやおばさんは、しっかりと周囲を見回しながら、怪しい人がいないか探していました。「そんな人なんか絶対いないでょ。」と思っていた私は、あまりの真剣さに驚いてしまいました。
 パトロールには、私の親戚のおじさんも参加していました。私がおじさんに、「誰もおらんじゃん。」と言ったら、おじさんはこう言いました。「もしかしたら誰かがおるかもしれん。もしも不審者がおったらいけんけん、おじさんらがちゃんと見回りをせんといけんのんよ。」
 そのとき私は、自分の心臓がドクンといったのが聞こえたような気がしました。ただ決められているからやっているのではなく、町のため、地域のため、みんなの安全のためにおじさんやおばさんたちはパトロールをやっているのだということに、そのとき初めて気づかされました。私は、パトロールを通しておじさんとおばさんたちの間に大きな絆が生まれているのだと思いました。おじさんやおばさんたちの、「坂町の安全のために」という気持ちがひとつになったからこそ、私たちはこうやって安全に過ごすことができているのです。今でもおじさんやおばさんたちは、忙しい中みんなのためにパトロールを行ってくれています。私はそのことを忘れずに過ごしていきたいと思います。
 今回私が参加したパトロールの中で、簡単には見ることができないと思っていた「大人たちの絆」を見ることができました。この体験で、今まで見たことのないものをたくさん見せてもらい、とても勉強になりました。
 「大人たちの絆」――。それは、大人たちの団結力でもあり、地域のみんなに対する「優しさ」が生んだものなんだと思いました。この「大人たちの絆」は、「優しさの証」であると思いました。

2015/07/16